流し撮りとは動く被写体をカメラの画角内で追いながらシャッターを切り、背景をブレさせ静止画である写真の中に動の要素を取り入れるステキな撮影方法です。つまりは…かっこいい写真を撮る方法です!

設定は被写体追従AFのシャッタースピード優先モード。スピードに乗った新幹線なら1/100で撮影しても十分流し撮り写真になります。最初は被写体の真横で近すぎず遠すぎずの場所(私の場合は被写体から150~200m程)から撮影して練習すると成功率も上がると思います。

【真横から流し撮り 東海道新幹線N700S シャッタースピード1/80】

慣れてきたら1/80、1/60とシャッタースピードを落として練習していきましょう。連写性能の良いカメラなら可能な限り高速連写し続ければより成功写真の取得率があがります。ですがメモリーカードの使用容量も凄まじい事になるので、撮影の合間合間に失敗データを消せる程度の連写で撮影するのがオススメ。

低速シャッターでの流し撮りが決まるように成る程、低速度の被写体も流し撮り出来るようになります。被写体を画角同位置にとどめてブレを抑える練習も必要になりますが、経験を重ねれば精度は上がるはず。私のイメージでは流し撮りはロボットダンスです(笑) 

【ズームで流し撮り 東海道新幹線N700A シャッタースピード1/60】

↑写真は品川駅へ向かう”本気出す”前のN700Aのぞみ号です。まだ並走する在来線と同程度の速度で走行する区間ですが、シャッタースピードを落とし、ブレを最小限に抑えて撮影する技術が向上すれば高速走行時の新幹線程速度は出ていなくとも流し撮り写真は出来上がります。

【遮蔽物消し流し撮り 東海道新幹線700系 シャッタースピード1/20】

流し撮りは遮蔽物をぼやけさせ被写体を目立たせるのにも役立ちます。上写真は富士川橋梁を渡る700系新幹線。高速シャッターで撮影すると鉄橋の柱が電車の前に堂々と目立って被りますが、低速で流し撮りすればするほど被写体(新幹線)と速度差のある周辺のオブジェクトはぼやけていきます。但し遮蔽物を消すのにも限度があり極度に多くのオブジェクトが視界を遮る場所では通用しない場合も多々あります。どの程度の障害物があってどのくらいの距離をとれるかは事前にGoogleMapなどで確認しておくのがベスト。

【悪天候こそ流し撮り ドクターイエロー シャッタースピード1/60】

もう一つ、鉄道+風景写真等を撮りに行った際に、「天気が悪くて望んだ景色が見られない」「電車と一緒に撮影しようとしていた植物が咲いていなかった」などなど、ピンチの際の代替え案にも流し撮りはオススメ。私の地元では富士山と新幹線が綺麗に収まる撮影地が有名なのですが、その時々の環境は本当に運次第。念入りに天気を調べても外れる事だって珍しくありません。上写真は曇り空で富士山が見えなかった時に撮影したドクターイエロー。遮蔽物が被ってしまったのは私の未熟さで、この場所は富士山が見えなくとも新幹線の車輪から頭まですべて写真に収められる良スポットです。富士山が見えないと景色はいまいちになってしまいますが、そんな時の予備案に流し撮りはいかがでしょうか。

【多少の失敗なら消さずに残す!編集ソフト+流し撮り 山陽新幹線500系 1/80】

撮影したらプレビュー画面を見ますよね。デジタルカメラの便利機能ですが、失敗作品が映し出されると少々がっかりしてしまいます。ですが、多少ブレが出ているくらいなら編集ソフト様がなんとかしてくれる場合があります。上写真はカーブしてくる500系新幹線を撮影したものですが、元写真は新幹線の顔も少々ぶれていました。ですが編集ソフトでブレを消すマスク機能を使ったところフォーカスポイント(この時は新幹線の鼻先からやや後ろ)を中心にみるみるシャープな画像に手直ししてくれました。背景の木々のブレも補正してくださったので流し撮り効果は薄れましたが、新幹線の顔は綺麗に浮かび上がりました。

【派手に失敗しても消さずに残す!編集ソフト+流し撮り 山形新幹線E3系 1/80】

一目瞭然でしょうが周囲のオブジェクトがガタガタ。でもRAW編集ソフトの「シャープ化」「ブレ補正」機能が失敗ブレをかなーり修正し補ってくれました。落としどころは自分の尺度でしかありませんが、折角撮ってきた貴重な写真。失敗作だと破棄する前にPhotoshop(有料)やLightroom(有料)、NIKON NX-D(無料)等々頼りになるソフトの力を借りて補正してみる事をおすすめします。

【ドアップで流し撮り 秋田新幹線E6系 1/80】

一番気になる部分、際立たせたい部分にフォーカスを当ててのドアップ流し撮りです。上写真はE6系こまち。正面からの緩やかにカーブしてくる編成写真が有名な撮影地ですが、スーパーカーのようなヘッドライトと運転席の並びが非常に魅力的でしたので、定番写真のついでに直近に迫ったこまちをズームで流し撮りしました。停車中の車両を撮影できれば一番良いのですが、そういった場所が近くにない場合などはとても有効な手段です。シャッタースピードやF値を弄ることで更に焦点部分以外を目立たなくさせる事もできます。
 
【超悪天候でも流し撮り 北陸新幹線E7系 1/100】

ドクターイエロー撮影時の真逆の立場、遠方へ出向いて目当ての景色が見れず、その上どんどん天候が悪化して最終的には猛吹雪になってしまった時に撮影したものです。本来なら新幹線最大のカーブを走ってくる北陸新幹線が撮影できる場所なのですが、この時は薄曇りからの雪、果ては猛吹雪になってしまい最終的には新幹線の姿すら満足に見えないくらいになってしまいました。ラスト一本の撮影でしたので流し撮りにしては高速の1/100で撮影しましたが、若干背景が流れているのが判る程度には撮影できました。

【日本最速でも流し撮り 北海道新幹線E5系 1/80】

最後は言わずと知れた日本最速の新幹線E5系の流し撮り。宇都宮以北の最高速区間へと出向き撮影しました。1/80で撮影しましたが320km/hでやってくる新幹線は本当に速い…。私のカメラNIKON D7200の追従AFは新幹線の運転席窓を追いかけさせるととても優秀にピントを合わせてくれるのですが、前方鋭角から高速で走ってくるはやぶさは残念ながら追い切れず、編集ソフトのブレ補正に助けてもらってなんとか運転席窓周辺だけブレていない写真になりました。被写体の動いてくる方向が正面からになればなるほどにズームリングも操作しながらの撮影になるのですが力及ばず。余談ですが、山梨リニアの最高速度テストで流し撮りをしようとした際には画角内に影も形も写りませんでした。速すぎます…。

長くなってしまいましたが、今回の投稿は以上となります。記事中盤の遮蔽物をぼかす撮影方法はもうひとつオススメのやり方があるのですが、流し撮りと関係がないのでまた別記事にて。それでは、今回も最後までご覧いただきありがとうございましたm(_ _)m

【中央本線211系ズーム流し撮り 1/60】

【東海道本線211系ズーム流し撮り 1/80】